yamasemi

ゼミに興味を持ってくださった
皆さんへ

  • 思いがなければ始まらない。思いだけでは広がらない。

    私自身、マザーハウスを立ち上げて18年。思いと現実の狭間の葛藤に苦しみながら、前に進み続けてきました。そしてその過程に、たくさんの学びをもらってきました。 同じような苦しみと課題を持っている経営リーダーがいる。そんな方々に自分の経験と思考のお裾分けをしたいと思って、この経営ゼミを立ち上げました。

    このゼミでは、経営リーダー自らの思いを高める方法や、思いをベースにしたもの・サービスの届け方、思いを共有し伝播させる組織のつくり方まで私が持っているものは全て伝えきることを目指しています。

  • 孤独にならず、思いを共にし高めあえるのが私たちのゼミ。

    一方で、このゼミをつくっていくのは、参加者の皆さんです。 経営リーダーは孤独になりがちといわれますが、この場には、本気で思いを持って経営を通して、社会に価値を広げていきたい経営リーダーが集まり、互いの経営を高めあっています。

    少しでも興味を持って下さった経営リーダーの方々、是非、説明会だけでも来てくださったら嬉しいです。

ゼミのご紹介

  • 思いをカタチにする経営ゼミ

    思いをカタチにする経営ゼミ

    経営ゼミは事業規模1-3億円を目指す経営者・起業家・経営参謀を対象にした少人数対話型ゼミです。1-3億円の事業計画をつくることを最終目標としながらも、思いの解像度を上げることやプロダクトづくり、お客さまづくりからチーム・組織やファイナンスまで経営者が抑えるべき幅広い知識の習得を目指します。

  • 次世代リーダーのためのビジネス教養ゼミ

    次世代リーダーのためのビジネス教養ゼミ

    教養ゼミは次代のビジネスを考えるために、新しい社会の価値観を歴史とフィールドワークから考えるゼミです。具体的にはメディアやアート、マイノリティ、モノづくりなど幅広いテーマを歴史と現在の新しい動きから学び、フィールドワークと議論を通して、自分のビジネスに生かしていきます。

  • SCoP2040ゼミ

    SCoP2040ゼミ

    SCoP2040ゼミは、同時の社会的視点から「いい会社」に投資し続ける鎌倉投信と協業し行っている対話型経営ゼミです。社会的インパクトを大きく考える経営者・起業家を対象とし、ベンチャーキャピタルなどにプレゼンできるレベルの事業規模10億円の事業プランを作成することを目指します。

データで見る経営ゼミ

  • 男女比
    男女比3:2
  • 業界比率
    業界比率マイノリティ支援15%コミュニケーションメディア15%公理・個人向け14%ヘルスケア医療13%教育13%メーカー10%人材4%金融銀行3%その他13%
  • 年代比率10代2%20代24%30代58%40代15%50代1%
  • 満足度大変満足95%そこそこに満足5%

活動レポート

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2024.07.29
【山ゼミレポート】第9回 守りと攻めのファイナンス
みなさん、こんにちは!山ゼミ編集部の瀧田です。山崎ゼミ最後の講義となる第9回の様子をレポートします。本日は最終プレゼンテーション前の講義です。はじめに入室した時点でゼミ生の息子さんが顔を出すなど、オンラインならではの家族も気軽に参加できるアットホームな雰囲気で最後のゼミがスタートしました。 前回の第8回では組織デザインに関して学びました。組織にはチームバランスが重要で、マインドとスキルを補い合うこと、そして文化的側面と機能的側面の2つの側面について学びました。最終講義となる今回は、攻めと守りのファイナンスです。それでは今回も早速、学んでいきましょう! ファイナンスは「未来」、アカウンティングは「過去」 「ファイナンスとは何か?」と聞かれたら、みなさんはどのように答えますか?山崎さんにとってファイナンスとは「未来」だそうです。未来にあるべき姿を思い浮かべ、そのあるべき姿を作るためにお金を集めてくることが、ファイナンス。ビジョンやミッションを実現するためにお金を投資することを指します。 一方で、もう一つ重要な視点は過去を示すアカウンティングです。数字は事業の鏡ともいい、過去の事業は数字に現れ、それを反映するのは会計(アカウンティング)です。ファクトファンディング(時系列比較)で数字の変動を比較をすることで、数字に意味をつけることをアカウンティングといいます。 ファイナンスは未来。アカウンティングは過去。 このファイナンスは「未来」というコンセプトをベースとして、重要な3つのポイントがあります。 あるべき姿をどう描くのか 誰がお金を出してくれるのか 過去の数字をどう評価し、どう分析して未来に生かすのか これらを中心に本日はお話ししていきます。 あるべき姿は「4」を意識して描く 未来のためにお金を集めるのがファイナンスですが、未来が見えるかどうかはフェーズによって違います。簡単にいうと、第1フェーズはバリューをこれから見つける試行錯誤の段階なので、未来像が変わってしまいます。そして第2フェーズ以降は試行錯誤の末にヒントが見つかるので、事業を大きくするために挑戦するこのフェーズからどのようにファイナンスをするのかを考える必要があります。 経営ビジョンの描き方のヒントとしては、4年を1タームとし、4つのビジョン、そして4つの損益分岐点を置くことが挙げられました。また、自分の会社が現在どのような規模の支出と収入があり、そして今後どのフェーズにいきたいのかを考え、そのフェーズに見合ったファイナンス額を決めることが重要だと話がありました。 経営においては「4」を意識する。 ファイナンスには攻めと守りがある ファイナンスは「未来」だと山崎さんは説明します。ファイナンスには、攻めと守りの2種類あります。具体的には、事業を投資のためのファイナンス(攻め)と会社を存続させるため(守る)のファイナンスです。コロナ感染症が流行するまでは攻めのファイナンスを考えている企業が多かったのですが、今のような先行きが不透明な状況は守りのファイナンスについて考えることが多くなります。 次に、ビジョンを達成するための「攻め」の投資資金の得る方法を具体的に説明します。 交渉相手によってビジョンの使いどころを分ける 山崎さんは、交渉相手によって訴求ポイントが変わるため、相手に合わせた事業のビジョンを明示することを話しました。その交渉相手は主に3種類あります。 1つ目が、想い型のファイナンスです。それは想い共感型の個人投資家やクラウドファンディングに当たります。特にソーシャルビジョン、に共感して投資をしてくれる人たちには事業に込めた想いを語ることが大切です。 そして2つ目は事業型(リスクテイク)のファイナンスです。これはリターンを求めるような事業共感型の投資家やベンチャーキャピタルです。彼らにとって特に意識するのは、その事業がどのポジションを取っているのかと高いリターンを取れるかです。 最後のタイプは、リスクアバースの事業型ファイナンスです。これは主に銀行を指します。銀行は貸す金額と返金される金額は同じなので、特に重要視するのが、借りた資金を返せる事業計画か、ブランドに担保価値はあるか、という視点です。 ただ、ファイナンスといっても結局のところ貸し出すのは人なので、想いが伝わることもあります。実際に会って話してみないと分からないと山崎さんは話します。個人の投資家は特に見極めが肝心で、事業を助けてくれる人や特定のスキルを持ち合わせており、サポートしてくれる人、他にも1~2年ほどボランティアで事業相談してくれた人など、信頼できて一緒に事業を創ってくれる方を見つけることが大事とのことでした。 最後に、山崎さんがおすすめするセーフティネットの組み合わせとしては、クラウドファンディング・政策金融公庫・融資返済実績のある金融公庫・スーパーエンジェルなどを挙げていました。 ファイナンス手法を組み合わせてセーフティネットをつくる。 キャッシュフローマネジメントの重要性 プロダクトなどによってお金が戻ってくる期間が違うため、事業がどのようなタイミングでお金を必要とし、収益はいつ来るのかを全て把握することで資金切れのリスクを減らすことが大切です。 また、投資を増やし、会社の規模を大きくすることが必ずしも成功とは言えません。会社が大きくなり、拠点を増やすことで管理コストや諸々のコストはもちろん増大します。そのため、企業の目指すべき最適サイズの考え方があります。第2フェーズで止まるか、第3フェーズまで勇気を持って進むか、決断を分ける要因が複数あります。例えば、ビジョンのスケール感、マネジメントの思想、マネジメントの人生設計、ビジネスの性質、業界文化の特性、ノリと勢いなど。しっかりとした見極めが大変重要ですね。 キャッシュフローマネジメントにおいて理解しておくべきポイント。 このように、ファイナンスを得るときには、交渉相手によって説得力のある話が違うため、ビジョンの説明の仕方は変えるべきということが分かりました。そして事業の現在地を把握し、いつまでにどのくらいの規模になっていたいかをあらかじめ描いた上で、適正な資金規模を判断することがとても肝心です。経営者としてはビジョンを明確にし、それに見合った事業規模へ向けて計画的に資金調達をできるよう目指したいですね。 ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション 第二部では、ゼミ生による事業プレゼンテーションとディスカッションが行われました。 角 祥太郎 さん(株式会社clapping hands) 角さんは、歯科医師として診療しながら会社を作り、自分一人のミッションのために起業しました。ミッションは「愛する人が寝たきりにならない社会」にすることです。現在の仕事はセミナーや勤務医ゼミ、オンライン診療などのシステム開発会社顧問。3年後にはショールーム型の歯科医院開業経営と、体重のように口の中の環境が言えるようにすること、コアファンの勤務医を巻き込んで作ること、患者さんのデータを入れるシステムをつくることを目指しています。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 理念だけは丁寧に説明することはとても大切 デンタル業界のコンサルとしてトップになること(自分がプレイイングしない) 角さんのスピード感についていけない人が多いのではないか 自分がプレイする部分と人に任せる部分をきっぱり作ることが大切 コミュニティのようなネットワークを作ることが良いのでは? 渋江 由香利さん(Foodealist) 食をテーマとした事業構想段階のFoodealistさん。渋江さん自身がヴィーガンであることから、食の多様性を受け入れる社会を作りたいという想いがあり、ウェブメディアを通じてあらゆる人々が理想の食事を楽しめる世界を作りたいと考えているとのこと。ただ、現在は行き詰まっており、訪日外国人が減っている状況の中でターゲットを変えたり、領域を変えたりと試行錯誤をしている状態で、まだ収益性やスケール感も定まっていないので方向性に悩んでいるという相談でした。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 競合がいるので、掛け算をすることが厳しいのでは 今の状況こそ新しい価値観を広げるようなタイミングではないのか どの人をターゲットにするのかに絞るべき ヴィーガン=我慢といった印象が強いので、それを変えることが必要なのでは 編集後記 講義は本日で最終回でした。「想い」を描くところから、実際の経営のノウハウ、そして最後にファイナンスのお話と、ビジネスを立ち上げ、成長させるために必要なエッセンスが盛りだくさんの講義内容でした。山崎さんも終始時間が足りないと言っていたくらい、まだまだ伝えたいことはありますが、ゼミ生とのディスカッションも豊富な、とても有意義な時間でした! 次回はいよいよ最終プレゼンです。これまでの講義を元に、皆さんも考え直す良いきっかけになったようです。お楽しみに!
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2024.07.29
【山ゼミレポート】第8回 想いを生かした組織デザイン
みなさん、こんにちは!山ゼミ編集部の瀧田です。山崎ゼミ第8回の様子をレポートします。 前回の第7回では山ゼミでも初となる、経営哲学とリーダーシップについての講義がありました。今回は、組織デザインに関して学びます。では早速、内容を見ていきましょう。 マインドとスキルを補い合うこと 組織ではマインドやスキルを補完し合うことが大切です。そこで山崎さんは自分で作った言葉、ビジネス5領域分析について説明しました。 創る(得るものやサービスを創る) 運ぶ(お客様に届くまでを設計する) 伝える、売る 組織化する 数える(ファイナンス・お金を教える) 様々な企業を分析した結果、これらをカバーしている企業が成功しているのだと言います。ただし、企業にはフェーズがあるので、フェーズによって必要なスキルが違うことは認識しておきましょう。ここで、ゼミ生自身が上記5つの領域で好き・嫌い・得意・不得意を明確にするため、少し時間を取り、考えていただきました。 ビジネスを作る5領域。この領域に沿ったメンバー集めが重要。 理想としては2、3人のマネージメントで補完し合えると良いのだそう。スタートアップの場合は一人一人にパワーがあるぶん、どこかがかけているとバランスが悪くなってしまいます。 他にも補完し合うべきマネジメント要素は、ネガティブバイアスと、ポジティブバイアス。会社の中では両方を組み合わせ、バランスをとることが大切です。そのためには、まず自分がどちらの傾向にあるのか、理解することからはじめると、今回のような状況に陥ったときに自分にはバイアスがかかっていることがわかり、コミュニケーションの取り方がわかります。 組織づくりの2つの側面(機能的側面と文化的側面) 会社とは、ミッションのため人が集まり、ビジョンを共有して目標とし、文化が生まれることで、行動ルールが規定され生産性向上のために、コストを意識しながら価値向上し続けることで、未来のための利益を出し続ける場所のこと。 組織づくりには2つの側面があります。それが機能と文化です。具体的には、アウトプットを出すためのスキル集合体(機能的側面)と共に生きるコミュニティ(文化的側面)、この両面があって組織が出来上がります。そして文化的側面の部分には前回のゼミで学んだ経営者の哲学が強く影響します。 組織の機能的側面と文化的側面 組織のビジョンを達成するために戦略があり、戦略を支えるのが具体的なアクションです。機能別xフェーズによって組織でどこを強みとして競争力を創るのかを考えることが重要になります。 そして、オペレーション戦略では生産性に焦点をあて、付加価値(売り上げ・利益)とリソース(ヒト・モノ・カネ)、これらの要素を改善することで利益が増えていくのです。 文化的側面 ミッションは文化のコアで、それは経営者の主観が強く影響され、色々な要因が絡み合って文化が生まれます。極論、文化があるとマネジメントコストが低くなるのです。ここで重要な2つの視点をご紹介します。 1つ目の視点は社内で大切にされる言葉は何かを把握すること。社員同士でよく使われる言葉や経営者の口癖になっておりような言葉の裏に文化があるのです。そして2つ目の視点は経済合理性を超えるものは何かを明確にすること。向き合う文化やその会社しかできないことが見えてきます。 組織は成功体験や失敗体験で学び作られていく。だからこそ、会社全体の体験をきちんと共有し、評価するが組織の成長を創ることができるのです。 文化に影響するのは、人事制度 ここで文化的側面に重要な、人事制度について詳しく解説します。人事は、採用、責任、評価、人事配置、育成、働き方に該当します。これらは文化を発展させるために作られていますか?結論からいうと、採用が8割。ここでは具体的に採用のお話をします。 採用は原則、その人の人生で入社する意味がある人を採る。ミッションに共感する背景を深掘りすることが大切です。採用基準は文化に貢献できる、ビジョン(文化的)とビジネスモデル(機能的)に貢献できる両方が必要。スキルの穴埋めを目的に採用しても企業文化が合わなくて失敗してしまうケースもあるので、注意が必要です。そのギャップをなくすためには、人としてどういう場所で、どうありたいのかを話してもらうことで見極めることができます。 人事戦略においては、特に採用が重要。 最初から人事制度はいきなり作れないので、マザーハウスも10年以上かけながら、少しずつ改善を重ねています。そして、理念だけで会社はつくれないため、社員一人一人も会社の理念やビジョンを出来るだけ見える化、自分ごと化、言える化することが大切。実際にマザーハウスでは、外部への会社説明の時も個人がそれぞれ資料を作り、自分の言葉で説明しています。そうすることで自分の考えていることに気がつくことができるのです。 「会社はみんなのアクションで創るもの。数字に追われて本当に効率的なのか迷いがあることも、最後はみんなを信じきれるかどうかが大切。」そう山崎さんは語りました。 ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション 第二部では、ゼミ生による事業プレゼンテーションとディスカッションが行われました。 米本大河さん(株式会社エドガ) 米本さんは現在市場が伸びている、VRを用いた企業向け研修トレーニングサービスを提供しています。新人研修や、適職研修、訓練ソフトの開発などをしている事業を展開しています。とてもユーモア溢れる語り口調でやっていること、ご本人の心の内が赤裸々に語ってくださりました。原点回帰し、自分のやりたいことを見つめ直した結果、VR版TDLxキッザニアを創る夢に気がついたそうです。ただ、現実的に考えて、ファーストステップとしてはB2B向けの研修教育に力を入れているそうです。課題は採用面が多く、マネジメント人材や営業マンがいないとのことでした。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 オペレーションをエグゼキューションしてくれるかたがいい どれだけリスクが取れるかが鍵になる 売るが重要なので、研修営業の鬼が必要 今後やりたいことに繋げるためのネーミングが必要 オリジナリティを表現する言葉をみんな探している 鈴木なつみさん(母親アップデートコミュニティ) 鈴木さんは、母親をもっとおもしろくというミッションを掲げ、母親を取り巻く環境の課題解決により、生き生きとした母親を増やすことを目的としたコミュニティを運営しています。具体的にはコミュニティ内学び合いや外部向けイベントなどを展開しており、今後は発信にも注力していくとのこと。悩みとしては、どのように活動を広げていくのか?どのように事業化するのか?という点を挙げていました。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 なつみさんは何がしたいのか?ビジョンと個人としてやりたいことのギャップがあるのではないか? 事業化する必要はないのかもしれない。ビジネスっぽくすることで今の魅力や楽しさ、本質が変わってしまうこともある。 NPO法人すると良いかも。みんなで集めたお金はみんなで使っていく。 最終的になつみさんはどんな存在でありたいのか? 編集後記 今回の組織デザインのフェーズでも、ゼミ生みなさんのそれぞれの事業フェーズやメンバーに応じて様々な学びが多かったのではないでしょうか。マザーハウスも企業文化を作り上げており、多くの失敗と成功から今のマザーハウスがあるのだと感じました。 名残惜しくも、そろそろ山ゼミも終わりが近づいてきました…。次回もお楽しみに!
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2024.07.29
【山ゼミレポート】第7回 経営哲学とリーダーシップ
みなさん、こんにちは!山ゼミ編集部の瀧田です。山崎ゼミ第7回の様子をレポートします。今回も引き続き講義はオンライン開催です。当日は山崎さんの誕生日!ということで、ゼミ生みんなで背景画像を用意し、ケーキも準備して盛大にオンライン誕生日会を行いました。とても和やかな雰囲気で今週もスタートしました。 前回の第6回ではプロダクト作りについての講義がありました。今回は、山ゼミでも初となる、経営哲学とリーダーシップに関して学んでいきます。 導入として、山崎さんは「トロッコ問題」についてゼミ生に問いかけました。「電車の運転手として線路を走行しているとき、このまま直線に進むと線路上に5人がいて、ポインターを切り替えた先に1人がいる場合、あなたはポインターを切り替えますか?」という問いです。この判断基準は人それぞれです。このように考え方が違うなかでどのような意思決定をするのか、それが経営哲学となります。 トロッコ問題 では早速、会社と哲学をリンクする入り口を考えていきましょう。 会社の存在意義とは 会社の存在意義は、第一回目の講義で触れた「想い」に紐付いています。会社の哲学は創業者の哲学を大きく反映しており、個人の哲学と同じように過去、今、未来が必要になります。改めて過去に経験した原体験が現在の自分の行動哲学や接し方にどう影響しているかを考えてほしいと山崎さんは話します。山崎さん自身も、ラベリングされない学校生活の居心地がよかったので、マザーハウスでも異文化、宗教が違う人たちをラベルングしない文化を作っているそうです。存在意義を会社の哲学に合わせて明確にすると、それが会社のコアとなります。 マザーハウスの原点にある哲学は、「マイノリティの可能性」 経済的価値を超えるもの ここで、山崎さんから再度ゼミ生へ質問です。 「あなたは面接官です。会社の発展にすぐには貢献できそうもないため落とすことにしたいけれども、どうも落とすことができない候補者がいます。それはどんな人だからですか?」 ゼミ生からはこの問いへの答えとして、「ビジョンに共感しているから」「フォロワーが多いから」「成長意欲があるから」「インプットすることにモチベーションがあるから」など様々な意見が出ました。これらの評価するポイントが会社の哲学そのものだと言います。会社とは、経済的なアウトプットを出すのと同時に一緒に過ごす共同体であり、経済合理性でない判断が働いているのです。 一度、経済合理性を外して問いを立ててみると、どのような哲学が出てくるのでしょうか?他にも、儲からなくてもやりたいものはどんなもの?といった問いが会社の哲学を作り上げていきます。 フェア(平等)とは何か? 新型コロナウイルスの感染が拡大している状況において、60歳以上の患者には人工呼吸器をつけないという判断は、冒頭で紹介したトロッコ問題と一緒の問いです。山崎さんからはまた新たな問いが出されました。 「あなたの会社は経営難で、給与総額を20%カットしなくてはなりません、どんな方法でカットしますか?どのようにアクションをしますか?」 この問いからも、ゼミ生の様々な価値観が浮かび上がりました。例えば、みんなに状況を公表して相談するといった人もいれば、まずは自分ら経営者の給与をカットする、パフォーマンスや業務別に判断すると回答した人もいました。 賃金カットの方法も様々にあり、そのやり方に会社の哲学が表れる。 このような状況は、今の世の中ではいつでも起こりうることですが、判断基準は個人としてのフェアの概念に影響されているのです。会社の哲学として、会社の存在意義、経済的価値を超えるもの、そして平等とは何かを考えることの重要性が共有されました。 これからの時代は経営者の哲学、つまり会社の価値観が大切な時代になります。組織を作るのは、金銭的なモチベーションでは差別化できない哲学であり、優秀な人材を囲い込もうと思うなら、経済合理性とは違う価値観を発信することが大切だと山崎さんは話します。 自分の哲学を明確にし、明確な価値観を持った会社を作り、それを反映した組織を作っていく。会社経営においてはあらためてその根幹となる哲学が重要なのだと実感しました。 リーダーシップ リーダーシップを培うための大原則は、己を知ることです。山崎さん自身もマネジメントの役割が多くなればなるほど、自分を知ることが重要だと気付かされたのだと言います。絶えずよき仲間を持ち、自分を客観視する力を身に付けることがとても重要です。 次回詳しくお話しする前に、山崎さんが「自分を作ってくれた7つのリーダーシップイベント」を教えてくださいました。ここでは一部だけご紹介します。 叩きつけたファイル:たった一つの行いがその人を「作ってしまう」。そしてそのレッテルを外すことに何年もかかった。 失った工場を守るために走る:バングラで工場を失った、その時初めてマネジメントしていることに気が付いた。 隣の芝生は青く見える:やりきったと思ったが、もう一回同じ思いを持ったメンバーを持った人を集めるのは大変。辞めようと思ったとき、誰と仕事をするのかが大事だと感じた。 このように、山崎さんも自身の体験からリーダーシップの自覚が芽生えたとお話ししました。そして最後に次回までの宿題として、リーダーシップに影響を与えたイベントを3つ考えることを与えられました。このイベントから、リーダーとして大切にしていることを現実を直視しながらも、一番上に持っているミッションを忘れないことが重要になります。 ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション 第二部では、ゼミ生による事業プレゼンテーションとディスカッションが行われました。 渡辺英暁さん(ラナエクストラクティブ) 渡辺さんは10億、100人の壁をどうやって乗り越えるか、100年続く会社にどうすればできるか、という問いがありました。現在の会社でデザインとテクノロジーをアイデアを通してソリューションを提供しており、解決するデザインから生み出すデザインへの転換を目指しているとのことです。全員がクリエイターとして安心して熱狂できる環境を作りたいとのことでした。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 渡辺さんのような人が一人の経営で30億規模の大きな会社を作るべき 自分の手を動かして作りに行くべき 40才前後に譲るのではなく、奪いに行くくらいの人じゃないといけない 目標設定を変え、どんなプロダクトを攻めるかを考え直すだけで組織に大きく貢献できる ツールは揃っているので、売り上げにこだわる人がいると、それだけで会社が大きくなる 荒井昭則さん(NPO法人コンフロントワールド) コンフロントワールドは不条理のない世界の実現を目指し、半分社会人、半分学生のメンバー18名で4カ国で活動しています。アフリカのウガンダで貯水タンク、浄水フィルター、家庭用のトイレを提供しており、学校建設の団体の支援や、ペルーの刑務所の中で出来上がったブランドの商品などを販売しているとのこと。悩みとしては、今のNPO法人の限界が見えてきたことと、目標が立てられないことでした。荒井さんにはゼミ生のみなさんも本当にやりたいことは何か?を鋭い質問で聞いており、最後は本人も腹落ちし、今後の展望が見えてきました。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 一言で言うと、荒井さんは何のバリューを出せるプロになるのかが重要 領域を決める(地域、プロダクト) 価値提供のプロと、お金をとるプロになるべき 本当に社会のことを思うなら、その国の社会課題を理解し、それを解決する団体をつくるべき 本気で何を達成したいのかから、どのようなことをその中からすべきかを見つけるべき 編集後記 今回の経営哲学では、まずは過去の原体験から自分の哲学を知ること、そしてそれが会社の哲学に反映されていることがわかりました。山崎さんも多くの経験を乗り越えたからこそ、このような多くの知見を得て、一貫した企業カルチャーが作れているのだなととても納得できました。次回は組織デザイン、そこでも経営者の哲学が大切になります。次回もお楽しみに!

主催者

山崎 大祐

山崎 大祐

(ゼミ代表/株式会社マザーハウス代表取締役副社長)

1980年東京生まれ。慶應義塾大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。卒業後、ゴールドマン・サックス証券にエコノミストとして入社。その後、創業前から関わってきた株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、07年に取締役副社長として入社。19年から代表取締役副社長に。他にも(株)Que社外取締役、日本ブラインドサッカー協会外部理事などをつとめる。

事務局メンバー

  • 田中秀行

    田中秀行

    (ゼミ事務局/株式会社Asante/AFRIKA ROSE代表取締役/一般社団法人LIFE IS ROSE代表理事)

    1979年生まれ。約10年間金融業界に従事。在職中に、渡仏。フレンチスタイルを取り入れた独自のフラワーデザインを築く。ジョエルロブション・パークハイアット上海などの装花、ブルガリ・レクサスにてフラワーレッスンを担当。現在はAFRIKAROSE、『もっとアフリカの薔薇を世界へ。もっと笑顔あふれる世界のために。』という理念の下、アフリカ・ケニアより高品質の薔薇を輸入し、東京広尾・六本木にてバラ専門店を展開。その他、バラでつながる350名を超える世代を超えたコミュニティ、ローズアンバサダー、ローズガールを主宰運営。

  • 小山将平

    小山将平

    (ゼミ事務局/東京・蔵前「自由丁」オーナー)

    詩人、東京蔵前に実店舗を構える未来の手紙カルチャーブランド「自由丁」オーナー。一年後の自分へ宛てて送れるレターセット『TOMOSHIBI LETTER』や、新しい書店の形を模索する『繋がる本棚』プロジェクトなどを手がける。メディア出演多数。自由丁WEBサイト内『今朝の落書き』にて毎日詩やエッセイを執筆中。好きなものは音楽、漫画、アニメ、映画、珈琲、とんかつ、カレー、ラーメン、エッグベネディクト、アイス。

  • 鈴木創也

    鈴木創也

    (ゼミ事務局/Edv Future株式会社 事業開発兼営業)

    大学生時代に株式会社マザーハウスにてインターンシップを経験。 新卒で株式会社セールスフォース・ジャパンに入社。 現在は法人へのコンサルティング業を営みながら、教育系スタートアップ企業に勤務中。

  • 中島好美

    中島好美

    (ゼミ事務局/Woven by Toyota)

    金融機関、自動車会社での勤務を経て、直近6年間は自動運転のプロジェクトに携わっています。現在はTOYOTA Woven Cityのプロジェクトにて自動運転モビリティサービスの事業企画・開発を担当。 アフリカローズやマザーハウスのビジネスを知ったことがきっかけで、社会性を重視する経営・プロダクトに興味を抱きました。思いのある経営者のサポートや次世代の価値創造、海外に向けての日本文化を活かした価値づくりに興味をもっています。 好きなこと・推しは、BTS、生け花(草月流師範)、フラメンコ、旅行、日本酒。インバウンド向けや社内のEnglish speakerに生け花クラスを開催しています。