活動レポート
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2024.07.29
【山ゼミレポート】第1回(講義編)「想い」をビジネスに活かす方法
みなさんこんにちは!山ゼミ編集部の加藤です。今回は、記念すべき山崎ゼミ第4期の第1回目の様子をレポートしたいと思います! 第1回のテーマは、「『想い』をビジネスに活かす方法」。山ゼミの1回目はいつもこのテーマから始まります。それは、一見シンプルでスルーしてしまいそうなこのテーマが、実は起業やビジネスを成功させるうえで本当に大事だからです。 実際に僕も山ゼミ第2期生として参加させていただいたのですが、全ての回を振り返ってみてもこの第1回目で学んだことが一番大切だったなと今でも思っています。なぜそれほど「想い」が大事なのでしょうか? 山ゼミで学ぶのは、ただ単に熱い「想い」が大事だとか、「起業にはモチベーションが必要だ」とか、よくある根性論のような話では全くありません。むしろ、山崎さんのマザーハウスでの10年以上にわたる経験をとてもロジカルに体系化し、汎用性のある理論にまとめたもので、どちらかというとサイエンスに近い感じです。 「『想い』をサイエンスするってどういうこと?」内容が気になってきた方のために、さっそく当日の内容を振り返っていきたいと思います! 第4期のゼミメンバー初顔合わせ!緊張の瞬間 記念すべき第一回目は、ゼミ生にとっても初顔合わせのタイミングです。第4期も、バックグラウンドも経験も全く異なる19名のユニークな受講生が揃いました! 最初は皆さん少しばかり緊張している様子でしたが、それも束の間。山崎さんから簡単なイントロダクションがあった後に、一人1分間の自己紹介プレゼンからゼミが始まります。 とてもユニークな自己紹介が多かったのですが、ここで全てを説明するとそれだけで終わってしまいますので、簡単に4期生の特徴を一言ずつまとめたいと思います! 「数字に興味がない税理士」「民泊でマイノリティの独立支援」「授乳室にサイネージ入れた新規事業担当」「大手広告代理店のマーケ」「趣味はグラレコ」「朝5時ブログの女」「テーマは健康づくり」「ある日突然COO」「35ヶ国旅した」「島根から地方創生」「元まち嫌いのまちづくりコンサル」「ウガンダでトイレづくり」「フルマラソン走り倒した」「元NGOで今はエシカル」「クラファン社長室」「ハーブティーのサブスク起業」「会社でストレッチ」「NPOの事務局長」「舞台制作の働きかた改革」 いかがでしょうか?とても多様な参加者が集まっていることがお分かりいただけるのではないかと思います!これからのゼミが非常に楽しみになるメンバーでした! みんな自己紹介をして安心したのも束の間、その後すぐに山ゼミ定例のとある「くだり」があるのですが、そこはゼミ生だけのお楽しみです♪ 思いの解像度を上げる 自己紹介タイムが終わったら、さっそくゼミの本題である「『想い』をビジネスに活かす方法」に入っていきます。 山ゼミに集まってきている人は、すでに起業していたり、これから起業予定の人だったり、大企業で事業をつくっていたり、NPOのマネジメントをしていたりと、何かしら自分の想いを持って動いている人ばかり。「なぜその活動をやっているの?」と聞かれれば、自分なりの回答は出せる人ばかりです。 それでもなぜ、第一回目であえて「想い」をテーマに講義をするのか。山崎さん曰く、「世の中はストーリーで溢れていて、ストーリーでは差別化できない時代に入っている。この時代にただ想いがあるということだけを伝えても、意味がない」とのこと。 たしかに、最近ではSNSも note も ブログもあって、個人が誰でも自由に自分の想いや考えを伝えられる時代。ありふれたストーリーは供給過多になっていて、ただ「私はこんな想いでこんな事業をやっています」と一生懸命伝えても、なかなか人の心には届きません。 それでは、そんな時代に、お金も知名度も実績もない個人が周囲から共感を集め、「コト」を起こしていくためには一体どうすればよいのでしょうか? 山崎さんの話に真剣に耳を傾けるゼミ生 その答えは、ずばり「想いの解像度を上げる」×「想いの伝え方を磨く」という掛け算にあります。この記事では講義内容の全てを書くことはできませんが、それぞれの要点を少しだけご紹介したいと思います! 想いには「かこ」「いま」「みらい」がある。 「想いの解像度を上げる」とは、具体的にはどういうことなのでしょうか? 山崎さんは、想いには「かこ」「いま」「みらい」の3つがあると話します。整理すると、下記のような感じになります。 かこ:原点(Why) いま:行動(What) みらい:ビジョン(For What) 大事なのは、想いを語るときにこの「Why」「What」「For What」の3つが含まれていて、その3つに一貫性があることです。これを意識するだけでも、自己紹介や自社プレゼンの質が上がるのではないでしょうか? 個人的にこれを最も体現しているのではないかと感じるのが、山崎さんが率いるマザーハウスの例です。 マザーハウスのビジョンは「途上国から世界に通用するブランドをつくる」です。非常に力強く前向きなエネルギーを感じるビジョンですが、このビジョンが生まれた背景には、創業者である山口さんや山崎さんの原体験があります。 山口さんは幼いころに壮絶ないじめに遭った経験があり、山崎さんも貧しい家庭のもとで育つなど、それぞれ苦労をしながら決して恵まれているとは言えない環境で育ってきました。しかし、そうした逆境の中でも自分たちの信念を貫き、いまでは世界4か国で40店舗以上を展開するグローバルな企業の経営者として活躍しています。 このようなお二人の原体験を知ったうえで改めてマザーハウスのビジョンである「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という文字を読んでみると、また違った印象が浮かび上がってきます。 マザーハウスのビジョン そう、もしかすると「途上国」とは「恵まれているとは言えない環境で育った自分たち」のメタファーであり、「世界に通用するブランド」とは「世界で活躍する自分たち」のことなのではないか、ともとれるのです。つまり、このビジョンを達成することで救われるのは、途上国の人々だけではなく、山口さん、山崎さん自身でもあるのではないかと。マザーハウスに共感してファンになっているのは、同じように何かしらのハンディキャップを感じながらも、そんな自分でも頑張れる、成功できる、と前向きに生きていきたい人々なのではないかと。 幼いころにそうした経験があった二人だったからこそ、ベトナムやバングラデシュに行き、貧しくもキラキラと輝いている子どもたちに会ったときに、何か感じるものがあった。それが結果として今のマザーハウスにつながっている。そう考えると、マザーハウスという企業はまさに経営者の「Why」「What」「For What」が一貫してつながっており、だからこそどんな苦難があっても軸を曲げることなく前に進んでいけるのだと感じるのです。 さて、話を戻して、みなさんも自分自身の「Why」「What」「For What」を改めて考えてみましょう。今やっていることと(What)と、原体験(Why)はつながっているでしょうか?周囲に対して宣言しているビジョン(For What)と、今やっていること(What)はつながっているでしょうか?そのビジョン(For What)を達成することで、他でもないあなた自身が救われるでしょうか? 想いを語るとは、「この3つをしっかりと一貫性を持って語る」ことであり、それができてはじめて人が共感できるストーリーが立ち現れてくるのです。ゼミ当日は、この解像度を上げる作業をするために、事前課題として課されていた「人生曲線」をペアになって発表しあうというワークがありました。 お互いの人生曲線について話し合い、盛り上がるゼミ生 やっぱり自分のことを話すのは楽しいもの。参加者は皆さんとても楽しそうに自分の人生曲線を話していましたが、曲線をつくったり誰かにそれを伝えたりする中で、それぞれ自分に対する新たな発見があったようです。成功の秘訣は、まず自分の過去をしっかりと振り返るところからスタートするのかもしれませんね♪ 「伝える」ではなく「伝わる」 想いの解像度を上げたら、次はそれをどのように伝えるか、という点です。ここでのポイントは、「伝える」ではなく「伝わる」ことを意識するということ。これも言うは易し、行うは難しの典型ですが、山ゼミではその具体的な方法論が紹介されました。 ここで印象的だったのは、もっとも想いが伝わる「メディア」は何か?ということです。伝える、伝わると聞くと、ついついプレゼンのディテールや話し方、表現手法などを想像してしまいますよね。でも、実はそうした「言葉」よりももっと伝わる方法があるのです。それは、ずばり「行動」です。 「どんな小さなアクションでもいいから、想いを伝えるときには自分がとった『行動』を含めること。これだけでもだいぶ説得力が増す」と山崎さんは語ります。 たしかに、自分の想いがどれだけ本気かを相手に伝える方法は「言葉」だけではありません。実は、私たちは毎日無意識に様々な形で周囲の人にメッセージを発しているのです。そしてそれらの多くは「伝えよう」としなくても「伝わって」しまうもの。山崎さんは、こう言いました。 「行動は、最大の説得力。」 まさに。これは、これから事業を始めたい人や、事業を始めたものの、なかなか資金や仲間が集まらずに苦労しているという人にとっての金言だと思いました。山崎さんが給料もすごくよかったゴールドマンサックスを辞めて、まだお金も実績も何もないマザーハウスに参画しようと決心したのは、山口さんが実際にバングラデシュで作ってきたバッグを目の前に持ってきたからだそうです。 山口さんが山崎さんの前に持ってきたバッグ。この行動力に山崎さんの心が動かされ、マザーハウスの歴史が始まった。 実際にバッグを目の前に持ってきて、買ってくださいと言われたこと以上に、山口さんの想いが伝わるものはなかったと。すごくシンプルなのですが、すごく大切なことで、この話は今でも僕の心に残っています。 編集後記 というわけで、山ゼミ第4期の記念すべき第一回目のレポートでした!少しでも山ゼミの雰囲気が皆様に伝わっていれば幸いです!ゼミの後は懇親会があり、受講生からとんでもない爆弾発言や暴露話がたくさん飛び出して、早くも波乱万丈な4期を予想させる展開となったのですが、皆さん初対面とは思えないほどあっという間に仲良くなり、23時を超えるまで盛り上がっていました♪(飲み会の写真は取り忘れましたごめんなさい) 次回のレポートもお楽しみに! -
2024.07.29
【山ゼミレポート】第2回(プレゼン編)「想い」をビジネスに活かすプレゼンテーション
みなさんこんにちは!山ゼミ編集部の瀧田です。今回は、山崎ゼミ第4期の第2回目の様子をレポートしたいと思います。 前回、第1回のテーマは、「『想い』をビジネスに活かす方法」の講義を聞きました。「かこ (Why)」「いま (What) 」「みらい (For What)」それぞれの「想い」の解像度を上げ、この3つをしっかりと一貫性を持って語ることの重要性を学びました。 第4期ゼミメンバーの自己紹介プレゼン 前回の講義で教わった「Why」「What」「For What」を整理し、第2回はゼミ生それぞれの「想い」をプレゼンテーションをします。バックグラウンドや活動領域が多様な受講生たちがどんな「想い」を語ってくれるのか楽しみですね。 ウォーミングアップもかねて、山崎さんから前回のおさらいを含めたイントロダクションがあった後に、1人5分間の自己紹介プレゼンが始まりました。各個人のプレゼン後にはゼミ生からの質問や山崎さんからのフィードバックを聞き、さらにFacebookグループでスレッドを立て、各プレゼンターへ自由にコメントできるようなコミュニケーションの工夫がされています。 それでは早速みなさんの自己紹介を紹介します。 1. 日比谷菜美さん(マザーハウス) トップバッターは日比谷さん。とてもご自身の性格やタイプを理解している上で「想い」を語ってくださり説得力がありました。 Why:人生のターニングポイントで共通するキーワードは、「本当は違うのに」。本当は違うのに、誰かが言ったことが真実として捉えられてしまうのだと気がついた What:それらの経験から、「ものづくりでそこに生きる人々の本当の姿を伝え、この機会を量・質ともに増やしていくこと」に取り組んでいる For What:「誰かの作った虚構やイメージでなく、人々が生きる本当の姿を知り、お互いをリスペクトすることができる世界」をマザーハウスで実現したい 【山崎さんからのフィードバック】 自分自身について語ることに慣れている感じがして聞きやすかった 2. 堤はるのさん(Ready For) 「みなさんは誰かに寄付したことありますか?」というゼミ生への問いから始まった、堤さんの自己紹介。 Why:学生時代にスウェーデンに留学しありのままの自分の夢を語り、挑戦できる文化と出会った What:自分の持っているお金の1%でも寄付することができる日本社会にしたい。帰国後はキャリアプログラムの立ち上げ、ソーシャルスタートアップアクセレレータープロフラムのインターンを経てReady forで働いている For What:挑戦したい人と応援したい人をつなぎ、挑戦する人にお金が流れる仕組みをデザインしたい 【山崎さんからのフィードバック】 質問から始める導入がよかった 具体的な数字が出ている点も説得力があった 働き始めて1年も経たないのに自分の言葉で会社のことを伝えられるのはすごい ミクロな話や自分がお金を出したときの経験があると、より説得力が増す 3. 鈴木貴達さん(Links) 肉、うに、ホッピー、赤ワイン好きと会場に笑いを誘って始めた鈴木さんは、自身の経験から生まれた素敵なビジョンを語ってくださいました。 Why:視覚障害のある母が自分にとっては当たり前の行動もできないことに気づいたから What:otomoという視覚障害者の外出支援の事業を展開し、視覚障害者が外出する際に同行し、余暇活動を支援している For What:全ての視覚障害者が外出できる選択肢を与えたい 【山崎さんからのフィードバック】 個人的理由と社会的理由にやる意味を持っているので素晴らしい 今後は大きく、かつ具体的なビジョンを描けるのかが大事になる 4. 中島好美さん(ホンダ) 中島さんは「器用でこじつけ上手な自分からの脱却」を裏テーマに今回の山ゼミに参加したのだそう。熱意が伝わります。 Why:エネルギーの強い人への憧れから起業プロジェクトに応募したが、起業する人たちは原体験があるから成功すると悟る。みんなのために汗をかくのが好きなので、それが活きる活動にフォーカスすることに What:自ら手を挙げ、現在は自動運転のプロジェクトで競合他者などの多様な価値観の人と協働しながら、三者の間に入る役割を担っている For What:人の役に立ち、世界を変える起業家の「伴奏者」としての役割を目指す 【山崎さんからのフィードバック】 伴奏者というビジョンはあり方を示していてすごくいい かなり人のために頑張れる人だと思った。どういう人たちの役に立ちたいと思うのか、喜怒哀楽を明確にし、その人たちと自分のキャラクターとの掛け算をすることが大切 5. 平山康浩さん(ユメハコブネ) 自らをチャラい人間だったと振り返り、話し始めた平山さんでしたが、人々の健康を願うとても素敵な「想い」を語ってくださいました。 Why:何も考えず遊ぶ日々を過ごしていたが、パートナーの病をきっかけに健康であることの大切さを知る What:仲間で一緒に夢を運ぶという意味を込めたユメハコブネで働き、教育の一環としてストレッチの推進やストレッチ婚活など多様な場面でストレッチの良さを広げている For What:ストレッチを受けることで「羽が生える」体験をしてもらい、健康寿命と平均寿命の差を埋めることを目指している 【山崎さんからのフィードバック】 小学校からストレッチが習慣化できたら人生が変わると思う 高齢者の方々とのリアルなエピソードがあると聞く側にもっと刺さる コンセプトづくりが重要になる 6. 渡辺英暁さん(ラナエクストラクティブ) 渡辺さんのプレゼンは、思わず聞くものの興味を引く「グレーの可能性を拡張する」というフレーズから始まりました。 Why:自らが育ったニュータウンやイギリス留学の経験から、0か100からはnewは生まれないが、間にいる日本人の自分のようなフラットな立場にポテンシャルがあると感じた What:デジタルのクリエイティブ企業の Design x Idea x Technologyの領域で「間」を設計し、事業を展開 For What:「世界の際(きわ)を積極的に曖昧にし、グレーの可能性を拡張する」 【山崎さんからのフィードバック】 自分の経験から観念的な内容を上手にプレゼンしていてすごい 「世界の際」などといった言葉の作り方とかもセンスがあった ビジネスの出口だけではなく、居場所(会社のあり方)をもっと聞きたい 7. 荒井昭則さん(NPO法人コンフロントワールド 代表理事) 発表した日は荒井さんの誕生日だったとのことで、参加者全員で祝福の拍手が起こりました。 Why:大学時代にうつ病になったが、海外で多様な価値観に支えられて復帰。ケニアの孤児院でのボランティア経験から、生まれた環境が要因で死んでしまう子供を一人でも減らしたいと考えるようになった What:貯水タンクや浄水フィルター、HIV患者さんへの家庭用のトイレを寄付している For What:人々の生活を変えるような取り組みを通して、不条理のない世界の実現をビジョンに掲げ活動をしている 【山崎さんからのフィードバック】 いいことしているが、さらに次のフェーズに進むと良い 不条理のない世界のためにアフリカで活動しているというだけでは差別化がしづらく、アプローチや目的などで何かもう一つの掛け算があるとさらにユニークになる 8. 小田洋平さん(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム) 小田さんはとても体格もよく背も高いのですが、小学校からほとんど身長が変わっていないと話、聞いているゼミ生一同が驚きの声。優れた掴みから始まりました。 Why:何の志もなく大学生活を過ごしていたとき、このままでは島根を担えないと友人に言われて人生をやり直す。大阪に移り、入社時の同期が優秀で衝撃を受ける What:地元の島根で地域・教育魅力化プラットフォームにジョイン。魅力化プロジェクトは、未来を変えたいという意思を持つ若者と地域をつなぎ、日本のキャリア観を変える取り組みで、未来・地域未来留学フェスタなどといったイベントを開催している For What:意思ある若者の育成がしたい 【山崎さんからのフィードバック】 ゴールには貢献しているが、組織としての哲学を作る必要がある 9. 鈴木奈津美さん(母親アップデートコミュニティ) 素敵な笑顔のなつミックスさんはプレゼンでご自身のプロジェクトの動画を流し、母親の皆さんがとても活き活きと活動している素敵なコミュニティの様子を紹介しました。 Why:母親が仕事を再開したことをきっかけに離婚し母子家庭になり、母親が自分のしたいことをすると幸せになれないのかと幼心に思った。自分も実際に母親になった瞬間、子育てについて何も分からない状況を実感し、母親を取り巻く環境は変わっているのに社会は変わっていないという現実を知った What:母親のアップデートコミュニティを運営。全国170名のメンバーと共に子供だけの人生から自分軸に戻し、どういう自分でありたいのかを見つめ直すプロジェクトを進行中 For What:母親が変われば、世界が変わるを信じ、カラフルな社会を作りたい 【山崎さんからのフィードバック】 100人の一歩を作るのは素敵 個人的な話ができることがコミュニティとしてのオリジナリティ 今後メンバーが増えていくと目的も分かれていくので、立ち位置を含めて今後どうしていくのかを考える必要がある 10. 松見咲子さん(株式会社フローミュラ) 柔らかな雰囲気を纏った松見さんは、ハーブの可能性を信じる「想い」を語り、島根のバラとラベンダーなどをブレンドした「チルアウト」をおすすめしてくれました。 Why:子供の頃ハーブの図鑑を読んで以来、ハーブとの接点がなかったが、社会人になりしばらくすると、自分が純粋に好きだったハーブを育て、飲むようになる。心からやりたいと思えることをやろうと思い退職し、起業。 What:サステナブルに働けるビジネスシーンを想定したブレンドを提供している。実際に、Newspicksのバーでハーブティーを提供した For What:ハーブティーで個人のケアをする「ライフチューニング」というビジョンで常に揺れ動く人の状態を受け入れ、チューニングしていきたい 【山崎さんからのフィードバック】 ライフチューニングという言葉はプロダクトコンセプトに近いのでは?そのビジョンを持った上で社会をどうしていきたいのかを描くか、チューニングを今どきの言葉に変えるのが良いかも テクノロジーと自然が融和することに魅力とポテンシャルを感じる 11. 石井さん(税理士) 数字が苦手な税理士と自身を紹介した石井さん。彼は「勘定よりも・・・感情」と書かれた一枚のスライドのみを用意し、「想い」を語りました。 Why:自身の父親が見えない部分にも目を向ける姿勢に尊敬し、人の感情の裏側にあるものに興味があった。数字の背景にある感情など、目に見えないところに興味が出てしまう What:社会人になると、数字に強く、人に寄り添うことができる税理士の師匠に出会いその縁をきっかけに、税理士の仕事をしている For What:数字の裏に隠れた感情を汲み取りアドバイスする、感情を気にする税理士という新たな形の経営サポートに挑戦したい 【山崎さんからのフィードバック】 石井さんのようなポテンシャルがある人材を求めている会社はいっぱいいる コミュニケーション力もあるので、どうビジネスサービスとして肉付けするのか、どう表現するのかを改善するだけ プレゼン資料が一枚なのも差別化戦略として素晴らしい。人の気持ちを動かすためにはどうすればいいのか、個性をどう使っていくのかを考えると良い 12. 渋江由香里さん(Foodealist) 「マラソンオタクのゆるヴィーガン」と渋江さん自らのアイデンティティをとてもキャッチーに表現されていました。 Why:両親から「こうあるべき」という教えのもと育ったが、みんなが同じ料理を食べるべきというのはおかしい、と意識が変わった。多様な色のスタイルを持っている人がいるが、世の中、特に日本では生きにくいことに問題感を感じる What:消費者と店舗をつなぐプラットフォームとなる、使われている食材が一目でわかるコミュニケーションカードを作成 For What:食の多様性を受け入れる社会を作りたいという思いで、WEBメディアサービスを通じて皆が一つの食卓を一緒に楽しく囲める世界を目指している 【山崎さんからのフィードバック】 ミクロとマクロなストーリー両方を組み入れて伝えるのはすごく大事で伝え方でみんなが参考になるプレゼンだった ヴィーガンと原体験のつながりが明確で分かりやすかった ヴィーガン市場のビジネスは伸びる、日本の食は多様性があるはずなのに、多様ではない 13. 米本大河さん(エドガ) 米本さんは写真やイラストを多く用いて、まるで物語を聞いているかのようなプレゼンを展開してくださいました。 Why:親族に起業家がいて、隣り合わせだった。プロジェクトXに取り上げられたい!と思い、23歳にインドネシアで事業を立ち上げたが失敗し、「本番」は甘くないことを痛感 What:Experience VRを体感したことをきっかけにVRのポテンシャルや魅力に惹かれ、弟と共にVR事業を起業 For What:失敗の数だけ周囲は信用してくれるのでチャレンジできるという自身の経験から、VR事業で0回目の体験を提供したい 【山崎さんからのフィードバック】 このビジネスが本当に何がキードライバーなのかを真剣に議論したい 0回目の体験からどうビジネスを作るのか、ビジネスにならないことが課題なのでは 14. 鈴木沙由梨さん(ケアプロ株式会社) 語りきれないほどのスライドをたくさん見せてくださった鈴木さんはとてもパワフルで、彼女の「想い」の強さが伝わりました。 Why:幼い頃、取り繕うのではなく素直になった途端に孤立。そこで自分らしくを大切にしつつも、目的のために感情とうまく付き合うことを知る。NPO法人夢職人とケアプロ株式会社との出会いで、目的から行動の一貫性が大切だと感じる What:既得権益があり、事業や制動設計のグレーゾーンがたくさんが多い現場の中でヘルスケアサービスをプロデュースしている For What:行政の制度を作りながら、ビジネスとして健康づくりを支援できるサービスを作っていきたい 【山崎さんからのフィードバック】 感情を畳みかけるプレゼン手法もあるのでよい 怒りがあるのかが気になる。何かを倒したいという伝え方や、みんなの「おかしいよね」と思う部分をどう高めるのかが大切 15. 広谷樹里さん ご自身の過去に知った「現実」が今の取り組みに強く影響していることが伝わるプレゼンテーションでした。 Why:消費しているもので搾取されている人たちがいることを知った一方で、イギリスではフェアトレード商品が多くあること、映画「女工哀歌」とバングラデシュでのラナプラザ事件をきっかけに感情が動く What:国際協力とエシカルファッション両方に関わりながらフェアトレード商品を様々な国の生産者と提携し販売している For What:日本の全ての人がものの生産された背景に思いを馳せ、知った上で選び、購入できる社会を実現したい 【山崎さんからのフィードバック】 今は幅広く携わっているが、どのようにプロになるのかを選択する必要がある いろんなスペシャリストがある中で、自分はどこが強みなのかを明確をするべき 16. 安本由佳さん(大学生) ゼミの参加者の中で唯一学生の安本さん。彼女にも自らの個人的経験から来る、行動を起こしたいという強い「想い」を語りました。 Why:姉のやること全て自分もやりたいと思っていた。しかし人間関係に悩み落ちこぼれ、アメリカに留学したものの、やりたいことがわからない What:なぜ下着のモデルは白人なのか?など人種差別やフェミニズムなどの疑問をぶつけ、世界に影響を与えたい For What:世界の人々に強く美しくあるための機会を届けたい 【山崎さんからのフィードバック】 フェミニズムの問題は根深い。女性の美しさや強さどちらかを選んだ上でブランドを作るのか、全身全霊で多くの人を巻き込むのか、自分の生き方で成功していればプレゼンスを発揮できる。価値議論はあやふやにしてはいけなくて、苦しんでいる人が多いから気持ちや心が軽くなるような価値観を醸成するのが大切 思いが個人的なので、どうして自分なのかを明確にするべき 17. 中野秀敏さん(NPO e-Education) 製薬会社からからNPO法人へ転職した中野さんは、言葉を一つ一つ丁寧に選びながら「想い」を語られました。 Why:製薬会社で働いていたが、45歳になり自分とリソースをどう使おうか考え退職 What:最高の教育を人々に届けばちゃんと大学に行けるレベルなることができるNPOへ転職。途上国の若者と、その若者を応援する日本の若者を応援する取り組みで働いている For What:世界で活動している若い仲間を応援したい 【山崎さんからのフィードバック】 何ができたときに自分がe-educationを導けたと言えるのかを明確にしたほうがよい プロとしてどのようなバリューを発揮するのか、どのように成功モデルを作っていくかしっかり考え、自分の役割を明確にすべき 18. 堀ゆき子さん(大日本印刷) 会社員として働きながら水彩画のアーティストとして活動している堀さんは、水彩画を使ってとてもわかりやすくご自身のエピソードと「想い」を語ってくださいました。 Why:父が経営に挑戦したが、失敗を機に家族は壊れやすいことを知る。そこで、身近な人との時間を大切にすることの重要性に気づく。自分も息子との時間を大切にしたいと思う What:水彩画アーティストとして「ケの日の幸せ」というプロジェクトを展開し、きっかけ、コミュニティ、場作りの3つの取り組みをしている。ローカルメディアを作り、忘れたくない瞬間やなんでもない瞬間を大切にするでアイデアを集めて水彩画を描いている For What:日常の中で幸せを、みずみずしい気持ちを大切にしてほしい。水彩画を使って表現しつづけ、様々な人の持っているタネを一緒に伸ばす、ゆるいコミュニティを作りたい 【山崎さんからのフィードバック】 ケノ日の幸せと優しいタッチの水彩画がとても相性がよく、感動した みずみずしい日々という表現を具体的な言葉にするのではなく、水彩画にすることがとても魅力がある コンセプトがどういう形で出ていくのかが重要になる 19. 丸谷篤史さん(株式会社LOOOF) 数時間続く自己紹介プレゼンも残りわずかなところ、疲れを感じさせない、丸谷さんのパッション溢れる「想い」を語ってくださいました。 Why:兄や優秀な仲間と比較され、自分の存在価値は何かを考えていたとき、負け犬脱却の十ヶ条に出会い、その社長のもとで働いた。小さな神様になる努力をした結果周囲の人との比較から解放された What:独立支援をする会社で投資家と児童養護施設をマッチングするソーシャル暖簾分けモデルというビジネスモデルを展開している For What:「比較を超える社会」を作り、それをパッケージ化したい。加盟店や投資家を集めたコミュニティを作りたい 【山崎さんからのフィードバック】 高橋がなりさんの影響を受けている人柄が感じられる 児童養護施設出身の人たちをどうマネージメントするのか、どうアプローチするのかのノウハウが課題だが、成功すると社会的インパクトが大きい 20. 富久泰志さん(キヤノン) 富久さんのプレゼンテーションを聞き、仲間のために精力的に活動する「善人」としての人柄が伝わりました。 Why:一人では面白くない、自分の枠を超えられないと考えていて、周りは才能豊かな仲間たちでどんどん繋がって、面白いことをやりたいと感じていた。うまく進められずストレスが爆発したある日、仕事と仲間への強い思いに気づいた What:プロジェクトリーダーをしつつ、ものづくり活動やコワーキングスペースの立ち上げ、研修講師、職場改善活動、新規提案活動などの活動をしている For What:自分が関わる全ての人を笑顔にしたい。目指すのは安心できる場づくり、羊飼い型リーダーシップ(個性を持った優秀な人を後ろから指揮する)役割を担いたい 【山崎さんからのフィードバック】 頑張ろうとしている人たちのコミュニティの作り方の教科書を作ることでたくさんの方が救われるはず 企業内コミュニティの作り方のモデルケースをどう作るか、問題意識を上げていくと広がっていく 富久さん自身が10年間で何をしたいのか考えるべき 以上の20名が自己紹介してくださいました。プレゼンテーションはとても盛り上がり、各ゼミ生のFacebookにも多くのコメントがついて、お互いに自分の強みや課題を認識するとてもよい機会となっていたようです。みなさんの現在の活動だけでなく原体験を知ることによって、未来に向けた「想い」により説得力があるプレゼンテーションでした。 最後に、山崎さんは「自分の領域は他の世界の人とっては普通ではなく、業界外や知識のない人を味方にするときに何を伝えなくてはいけないのか、自分の思いを理解してもらうための感情のデザインが重要となる」とアドバイスをしました。 編集後記 第2回では、ゼミ生の皆さんのとても熱意溢れる多種多様な「想い」を聞くことができました。次回以降は企業の事業フェーズの講義を受けつつ、参加者みなさんの事業課題について対話形式で議論していきます。次回のレポートもお楽しみに! -
2024.07.29
【山ゼミレポート】第3回 事業のフェーズ別モデル
みなさんこんにちは!山ゼミ編集部の瀧田です。今回は、山崎ゼミ第4期の第 3回目の様子をレポートします。 前回は、初回の講義で学んだ「『想い』をビジネスに活かす方法」から「かこ (Why)」「いま (What) 」「みらい (For What)」それぞれの想いの解像度を上げ、それらの要素を含めて一人一人がプレゼンテーションを行いました。参加者のみなさんが活躍しているフィールドは異なりますが、それぞれの取り組む事業や活動への素敵な「想い」を共有していただきました。 4つの事業フェーズ 第3回は事業フェーズごとの経営に関する理解を深めていきます。今回は講師の山崎さんが、自ら立ち上げたマザーハウスのケースを用いて「想いのフェーズ」「構築フェーズ」「実現フェーズ」「離陸フェーズ」という4つの事業フェーズについて順番に説明しました。 山崎さんは、創業初期からメンバーと共に切磋琢磨した日々を語りながら、各フェーズで特に注力したことや大切にしていた行動指針などをスライドにまとめ、時系列を追ってとてもわかりやすく説明してくださいました。成功体験のみならず、山崎さん自身が学んだ反省点を赤裸々に語り、その経験から得た教訓も話していたのが印象的でした。また、状況に応じたファイナンス面のアドバイスもあり、ゼミ生はみな真剣に耳を傾けていました。 今回は少しだけその内容を共有します。 ひたすらファン集めに注力する「想いのフェーズ」 初期の想いのフェーズでは、マザーハウスのファンを増やすためにいつも商品を持ち歩き、出会う方一人一人にひたすら自分たちの事業に対する想いを伝えていたのだとか。共感してくれる仲間を募り、想いをベースにボランティアとして集まってくれたとのこと。それらのファン集めや拠点づくりから得た知見がたくさん共有されました。 お客様に直接思いを伝え、共感するファンを増やしていった。 高速PDCAでヒット商品を作る「構築フェーズ」 少しずつ自社製品が売れるようになってきた構築フェーズでは、利益を出すべく答えを模索するタイミングとなります。結果を出すために、拠点とする店舗をベースにひたすら高速でPDCAを回していたとのこと。そして、このフェーズでは仲間の選別や資金調達、経営者トップの行動など多くの変化があり、そのときに山崎さんが経験したリアルな苦悩や葛藤、そこから得た学びを赤裸々に教えてくれました。 順調に売上が増え始める。 ようやく働く仲間を強く思い始めた「実現フェーズ」 事業を信じてひたすらアクセルを踏み続けた結果、ようやくビジネスモデルを見つけたのと同時に、経営者としての役割も見え始め、仲間が入ってきたフェーズです。構築フェーズでPDCAを回していくうちにヒット商品も出始めたそうですが、この時期はいくら仕事をしても時間が足りなく、みんな心身ともに疲れ切ってしまっていたとのこと。そこで今までお客様ばかりに気を取られていた自分に気がつき、疲弊した社員に必要なものは経営ビジョンだと考え、全社共通のビジョンを掲げるために必死で計画を立てたそうです。 働く仲間と共に大きな目標に向かって Take off!「離陸フェーズ」 ビジョンの重要性に気づいた山崎さんは “Road to 10”という4か年計画を作り、社内のメンバーへ共有しました。これが離陸フェーズです。実際に現場にいた社員の皆さんも、そのビジョンが発表された当時は実現できないだろうと思っていたという話もありました。山崎さんは、「心身ともにきつい状況だったが、個人も組織も最高に学んだ4年間だった」と振り返りながら、そのビジョンの策定をする時の4つの軸と、目標で終わらず実現するための鍵を含め、様々な情報を共有しました。 新たなビジョンと共に、ロゴも一新した。 編集後記 まるで物語を聞いているかのようなマザーハウスの波乱万丈の4年間を、たった4時間に凝縮して話してくれた山崎さんの講義は、とても刺激的でした。山崎さんが自ら考え、行動してきた結果として今のマザーハウスがあるのだということを改めて実感しました。また、経営の話だけでなく山崎さん自身のフェーズごとの心境の変化も知ることができ、多くの苦難を乗り越えたからこそ語ることができる経営者としてのエッセンスが凝縮されていました。 次回のレポートもお楽しみに! -
2024.07.29
【山ゼミレポート】第4回 最愛のブランドを作るために〜ブランディングに大切なもの〜
みなさんこんにちは!山ゼミ編集部の富山です。山崎ゼミ第4期の第4回目の様子をレポートします。今回は、新型コロナ拡大防止のための自宅自粛期間により、山崎ゼミ初のオンライン講義。リアルの場とはまた違った、オンラインならではの新たな可能性を感じる時間となりました。 前回は、講師の山崎さんから自ら立ち上げたマザーハウスのケースを用いて「想いのフェーズ」「構築フェーズ」「実現フェーズ」「離陸フェーズ」という4つのフェーズの説明がありました。第4回目となる今回は、前半に山崎さんから「ブランディング」について、後半はゼミ生からの事業プレゼンテーションに対して山崎さんと他のゼミ生が議論を交わしていくという2部構成で行われました。少しだけ、その内容を見ていきましょう。 最愛なブランドをつくるために 山崎ゼミの軸である、「想いを形にする経営」。そのためには、個人の想いをブランドづくり、プロダクトづくり、お客様づくりに活かす必要があります。今回の講義では、その中でも「ブランドづくり」の話に焦点を当てていきます。 「これからの時代は『最高』か『最愛』か『最安』しか僕は生き残れないと思っています」 今の時代、最安のものはインターネットですぐ調べることができ、最高のものも認知しやすくなっています。その中で目指すべきものは「最愛」であると、山崎さんは話します。いきなり「最高」のものを作るのはハードルが高いので、経営者はまず、「最愛」をつくりながら「最高」に移していくプロセスに入るべきだということです。 いきなり「最高」は難しい。まずは「最愛」から目指す。 応援したくなる「ブランド」ってなに? 「脳において記憶を司る部分はどこでしょう?」と、山崎さん。「なぜ、突然脳の話をするのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、実はこれが応援したくなるブランドを作る上で重要なのです。zoomのチャット機能を使い、ゼミ生が次々と回答。正解は、海馬と扁桃体です。これらが、人間の記憶や感覚を担う場所になっています。 人間には「情報記憶」と「感情記憶」があり、情報にも感情にも残るのが「ブランド」だと山崎さんは話します。応援したくなるブランドとはつまり、この2つの記憶に残るブランドだということです。 応援したくなるブランドは、情報記憶と感情記憶に残る。 キャラクターとテーマ設定 では、この「情報記憶」と「感情記憶」の双方で印象に残るブランドとは一体、どういうことなのでしょうか?山崎さん曰く、この感情記憶は「キャラクター」であり、情報記憶は「テーマ設定」が大切になるそうです。 まず、扁桃体に影響する「キャラクター設定」に大事なのは、「挑戦する姿勢」です。そしてこの“姿勢”にこそ、キャラクターが現れます。山崎さんは、キャラ立ちしている4人の女性起業家を例に出して解説してくださいました。大事なのは、それぞれが自分のキャラクターを理解するために探し続けているか、ということです。 講義では、ブレイクアウトルームを使って4人1組のチームになり、自分の「マインドセット」と「自分のキャラクター」について対話する時間が作られました。「めんどくさいキャラ」「サイコパス」「修羅場をくぐり抜けすぎて感覚がおかしくなったサーファー」など、面白いキャラクターを持つゼミ生が多く、盛り上がりました。 ミッションを尖らせることが大切 これまで、感情記憶に残るためにキャラクターやイメージを大切にする必要があるという話をしてきましたが、次は情報記憶に残るために大事なものは何か、という話です。人の記憶に残るためには、ミッションを明確にして尖らせることが大切だと山崎さんは語ります。みんなができそうにないことを具体的に本気度が伝わる一文に込めることが大切。講義では、山崎さんがブランドを立ち上げるために必ずやっているオススメの方法がシェアされました。 いきなり1行にしない。大事なことをとにかくたくさん書いていく。 やろうとしていることを3行×3段で書いていく。 その中でいいフレーズを抽出してみる。 ゼミ生からは「なんで3行なの?」「ビジョンは何人で決めたらいい?」といった質問もあり、講義は白熱。さらに山崎さんは、マザーハウスの「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念ができるまでの過程も惜しみなく共有してくれました。その内容はゼミ生だけのお楽しみです。 最愛のブランドを作るためのテーマ ミッションと並んで大事なのは、テーマ設定です。3つのキーワードの掛け算で、顧客に思い出してもらえるブランドになることが大切です。キーワードでメディアはブランドを取り上げますし、キーワードにファンがつくからです。ちなみに、マザーハウスのキーワードは「途上国」「バッグ」「女性起業家」。これらのキーワードが決まるまでの過程にもさまざまな試行錯誤があり、大変学びがありました。最終的には、一つのキーワードでブランドを思い出してもらえるようになることが目標です。 マザーハウスのブランドを形作る3つのキーワード ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション 第二部は、ゼミ生による10分間の事業お悩みプレゼンテーションが行われました。 株式会社Groove Designs代表の三谷繭子さん トップバッターは、まちづくり・都市デザインコンサルタントである三谷さん。市民のタッチポイントを模索しながら、様々な視点で町づくりをしているそうなのですが、コンサルタントという立ち位置で果たせることの限界を感じているそうです。また、方向性がふわっとしていることや、想いを事業化する際の具体的な方法論、仲間づくりに悩みを抱えていました。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 非常に面白く、テーマが横断的なので今っぽいビジネス 事業として視点を絞ることが大事 今色々関わりのある中でワクワクするもの、許せないものを考えてみる 地域にある看板をワクワクするものに変える「看板デザイナー」はどうか? 「こういう人のための町でありたい」という明確な設定が大事 まちづくり自体をアミューズメントとして、参加者からお金をもらうのはどうか? NPO法人Explat/合同会社syuz’genの植松侑子さん 植松さんは、舞台芸術のアートマネージャーに向けた人材育成や雇用関係の雇用関係の整備の中間支援組織と、新しい働き方を実現する、アートマネージャーのプラットフォームを運営しています。本の舞台芸術業界の労働環境が整備されていないことを課題としている植松さん。プレゼンテーションでは、最近のアップデートされた演劇の事例として、街中でのパブリックエリアでの演劇や入場料で株をやり金融の一連の流れを演劇にするといったような、ユニークな作品を紹介してくださいました。そのように演劇を社会で実装できる面白さを感じながらも、トップの考えが変わらない限りブラックな労働環境が変わらない、さらに演劇のイメージが日本でよくない、といったことを課題としていました。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 問題意識や、やっていることは100%理解できる 植松さんみたいな人を作ることが大切ではないか? 文化の価値をアップデートする影響力のある人に広げる 固定観念がない若い人に流行らせる。TikTokなど相性も良さそう 「演劇」っていうのをやめて新しい名前をつけてみたらどうか? お二人のプレゼンテーションに対して、山崎さんからのフィードバックだけではなく、ゼミ生からのアドバイスからも熱い議論が生まれ、大変盛り上がりました!Facebookコメントやzoomチャットにも多くのコメントがついて、発表者の方々も課題について考えを深めるとてもよい機会となっていたようです。 最後に、山崎さんから「今回は初のオンライン講義でしたが、次もやり方をさらに考えて面白くしていきます!」という話もあり、第5回もさらにパワーアップした講義が期待できそうです。 編集後記 ということで、山崎ゼミの記念すべき第一回オンライン講義のレポートでした!zoomのブレイクアウトルームやチャット機能を使い、リアルとは違った盛り上がり方&面白さがありました。終電がないオンライン山崎ゼミ、次回も盛り上がりそうです! -
2024.07.29
【山ゼミレポート】 第5回 お客さまづくり、ファンづくり
みなさん、こんにちは!山ゼミ編集部の宮木です。山崎ゼミ第5回の様子をレポートします。今回も新型コロナウイルスの影響により、オンライン講義となりました。オンラインだからこそ、チャットでは山崎さんへの質問やゼミ生同士の自発的な盛り上がりもあり、様々な意見が活発に交わされていました。 本講義は新型コロナウイルスが猛威を振るうなかで行われましたが、新型コロナウイルスが突き付けている課題として「もともと持っていたお客様を繋ぎとめ続けられるか」があると山崎さんは言います。全店舗・拠点が閉鎖に追い込まれている会社も多い中で、この状況が続けばお客様に忘れてられてしまう恐れがあります。今回はどのように会社は発信し、お客様に覚えてもらい続けるかをテーマにお話がありました。早速、内容を見ていきましょう。 お客様づくりとは? お客様づくりとは、前回の講義でも話に上がっていた「最愛のブランドを作っていくためのお客様へのコミュニケーションとアクション」だと山崎さんは言います。では、お客様に応援してもらえるブランドになるためにどんなことを意識すればいいのでしょうか。 「為に」から「共に」 「お客様とは何ですか?」という山崎さんの問いに、「パートナー」「時には神様」などとゼミ生からの発言が。山崎さんは「お客様とはミッションを共有する仲間」であると答えました。「お客様の為に」であると「お客様の満足に叶うもの」「もっと安くすること」といった対立構造になってしまいます。 一方でお客様が企業の理念やミッションが応援したくなったり、その企業が社会を変えていくために貢献したくなったりするような「共に」という共犯構造が最愛のブランドを作るためのお客様づくりにおいて重要になっていきます。だからこそ、理念やミッション、ビジョンが大切なのです。 顧客と対立構造から共犯関係になる。 適切なるグルーピング では、どのようにお客様とコミュニケーションをしていけばいいのでしょうか。そのヒントとして、その企業のどの部分に対して「共に(パートナー)」の視点をお客様が持っているのか、お客様ごとの適切なグルーピングをすることが大切だと山崎さんは強調しました。そのグルーピングとは「ヒト共感層」「テーマ共感層」「プロダクト共感層」です。この3つのグルーピングに従ってお客様へのコミュニケーションの仕方が変わってくるそうです。 顧客の3つの層 時間軸を持った関係性を作る マーケティング用語として、プロダクト・サービスの使用に関わるお客様の行動や思考を設計する「カスタマージャーニー」は有名ですが、山崎さんは時間軸を長く持ってお客様の人生に寄り添っていく「ライフタイムジャーニー」というキーワードを挙げました。 マザーハウスでは、学生・就職・転職・結婚・家族形成といったお客様の一生涯を寄り添うことを意識しています。例えばマザーハウスの代表・山口絵理子さん著作の「裸でも生きる」は、各学校に要望があれば配布していたり、マザーハウスカレッジは社会人向けに展開していたり、プロダクト面ではブライダルリングやパパ・ママ用のバッグといった開発も行ったりしています。 お客様の生涯を意識したサービス開発は、長期的にお客さまに寄り添う覚悟があることを示し、このことは社会的に意味があるだけではなくビジネスに返ってくると山崎さんは言います。 ライフタイムジャーニーの設計 ストーリーテラーがテーマとプロダクトを語れるか 社内のスタッフとお客様とのかかわりの中で、自分の言葉で企業を代表して語れるようになることが大切です。そこでマザーハウスの社内向け商品発表ではインナーの感情をデザインすることに重きを置いているのだとか。開発された商品に各担当者が責任をもって「売れる」と思えるように伝え方の設計をしているとゼミ生でマザーハウスの社員でもある日比谷さんは話しました。スタッフ全員で自分の手を動かし、行動することでそれぞれに責任感が芽生えてきます。インナーコミュニケーションからどうジブンゴト化させていくかまでを考えていく必要がありそうです。 マザーハウスではインナーコミュニケーションに力を入れており、新商品発表会も盛り上がる。 3つの波を組み合わせて認知を広げる さらに、お客様と定期的にコミュニケーションをするために念頭に入れておくべき3つの波があるそうです。1つ目はプロダクト・サービスを伝え、コミュニケーションを生む「ベースの波」、2つ目には半年~1年に1度程度、会社を思い出してもらうためにメッセージ性のある「イベントの波」、最後に2年に一度話題になるようなドキュメンタリーやテレビ番組による「大型メディアの波」です。これらを把握し、組み合わせていくことで会社の認知を上げていきます。 Facebookは日々の投稿に加え、誕生日に友達が「おめでとう」と書き込んでくれるのでFacebookを見に行かざるをえないといった、ベースの波、イベントの波を有効に使っている例だといえます。 ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション 第二部では、ゼミ生による事業プレゼンテーションとディスカッションが行われました。 リンクス株式会社 鈴木 貴達さん 「全ての視覚障がい者が外出できる社会を作る」を目指したサービス「otomo」を運営している鈴木さん。 otomoでは買い物、外食など余暇活動を中心に視覚障がい者の方に視覚補佐をするヘルパーさんを割り当てるサービスを展開しています。すでに都内で2-3番目のシェアを誇るサービスですが、鈴木さんはコロナウイルス感染拡大の影響で売上が減少していることに危機感を感じています。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 新規ユーザーはほぼ獲得できており、ユーザーは一度決めた事業者を変えない特性があるため10~20年後に可能性があるサービス コロナウイルスの影響の中で出てくるニーズに一つ一つ応えていくことでサービスの価値が深まる ミッションを「全ての視覚障がい者が外出できる社会(ニーズ)」ではなく「全ての視覚障がい者が外出したいと思える社会(ウォンツ)」とすればマーケットが広がる コロナ禍においては「何を準備するのか」が大切。その中で生まれるニーズに対応するのか、あるいは1年後のために何をやるのか 株式会社ユメハコブネ 平山康浩さん 平山さんは、ストレッチの専門家としてキャリアを積んだ後独立し、高単価で固定費をかけない出張型でのBtoBビジネスを展開しています。ストレッチには「不快な症状の緩和」「姿勢の改善」「柔軟性の向上」などの効果があることから未来の選択肢を広げるという想いがありますが、コロナウイルス感染拡大の影響で仕事が減り、オンラインでの事業展開を考えています。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 自分が退職した際にトップと合わなかった部分の言語化した方がいい 個人が考えている問題意識を社会化している サービスは松竹梅を作ること(垣根は低くして、ワンコインで安く広く) ストレッチのバリューを見える化した方がいい 編集後記 コロナウイルスが世の中を大きく変えている中で、お客様との効果的なコミュニケーションについて考え直す講義となりました。お客様に対する認識の変革から、インナーコミュニケーションまで様々な視点から「お客様づくり」を分析できたのではないでしょうか。 次回のレポートもお楽しみに! -
2024.07.29
【山ゼミレポート】第6回 プロダクト作り
みなさん、こんにちは!山ゼミ編集部の瀧田です。山崎ゼミ第6回の様子をレポートします。新型コロナウイルスの影響により、今回も引き続き講義はオンラインで開催されました。リアルの場で山ゼミに参加していた私は初めてのオンライン参加でしたが、終始リアルの場と変わらない熱量で盛り上がりました。 前回の第5回ではお客様との関係性についての講義でした。お客様との関係性を作った後は、そのお客様が買ってくれるプロダクトを製作する必要があります。今回はそのプロダクト作りについての講義です。 お客様起点のプロダクトを売る プロダクトを考えるときは、理念やビジョンなどの「想い」を反映するのではなく、お客様起点で作ることが重要だと山崎さんは言います。プロダクトを考えることは、つまり、その商品のバリューを考え、お金の稼ぎ方を考えることになるのです。それでは、どのようにお客様起点で考えるのでしょうか。 プロダクトに異なる視点を持つ プロダクト作りには、お客様のニーズにあったプロダクトを作ることも大切ですが、競合他社と差別化すること、つまり独自性も大切です。山崎さんは「あなたの今扱っているプロダクトは何ですか?」とゼミ生へ問いかけました。プロダクトに独自性を持つには、異なる視点を持つことが重要だと山崎さんは説明します。 プロダクトの価値は機能、時間、形容詞など様々な視点から分解できる。 例として、車から連想される言葉をみなさんで考えました。ゼミ生からは「 移動手段」「ステータス」「カラオケボックス」「デートスポット」「旅行道具」など多種多様なワードが挙がりました。この一つ一つ挙げられた車の視点にマーケットがあり、新しいプロダクトを差別化する良いヒントにつながるのです。 目的性にこだわる この講義のはじめに理念やビジョンを捨ててお客様起点でのプロダクト作りが重要だと話されていましたが、一方でオリジナリティを出すためには、視点を変えるだけではなくプロダクトを製造する目的を突き詰めることも重要なポイントになります。実際に、商品自体の見た目や機能を変えても大きく差別化はできません。独自性のあるプロダクトを作り出すためには、製造するプロセスをオリジナルにする必要があり、そのプロセスをオリジナルにするためには「なんのために作るのか?」という目的性にこだわることが大切なのです。 独自性のあるプロダクト・サービスは、目的性へのこだわりから生まれる。 プロダクトを 科学するのは難しい 目的性を突き詰めて考えられたプロダクトだとしても、売れるか売れないかは法則やルールがなく未知数です。実は、10人が全員欲しいというものより10人中一人が絶対欲しいというものが売れることも。山崎さんはプロダクトを売り続けるための3つのポイントを示しました。 ヒット商品を生み出す ホームラン商品を生み出す 売れた商品を売れ続けるようにする お客様起点やプロダクトを差別化し、ひたすらプロダクトを出し続けていくと、ヒット商品が生まれます。そして、ホームラン(数年売り続ける大ヒット)商品を生み出すことができたら、その売れた商品をシリーズ化し横展開していきます。継続して売れる商品を作るための鍵は、売れた商品をひたすらPDCAを回していくことなのです。 ホームライン狙い・ヒット狙いでポートフォリオを組む。 プロダクトは市場に出してみないと売れるかどうかは分かりません。そのため、普段から流行モノに敏感になり、それが徹底的に流行している理由を分析することで顧客視点に立つことができるのです。実際に、山崎さんはこの方法でセンスを磨いているそうです。 ゼミ生からは「市場に出すタイミングはどう見分け方は?」「顧客とのコミュニケーションの取り方は?」といった質問も。さらに山崎さんは、マザーハウスのヒット商品、ホームラン商品開発までの過程をお話ししてくださいました。その内容は、ゼミ生だからこそ聞ける貴重なお話です♪ ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション 第二部では、ゼミ生による事業プレゼンテーションとディスカッションが行われました。 株式会社フローミュラ 松見 咲子さん 松見さんは、心身ともに自然体でいられるように体調をチューニングをするためのハーブティーを提供するサービスを立ち上げました。現在は商品リリースを目前に控えた開発段階で、プロダクトをリリースするにあたっての今後の組織の体制を考えています。提供する商品の種類に関してはゼミ生のみなさんで活発に意見交換をしました。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 会社としてのミッション、ビジョン、バリューが明確な上、チューニングもいい言葉ので、伝わるかどうかが全て チューニングの必要性の気づきを与えることが大切 飲み物はクセづけされているので、飲み物に対するシフトチェンジをしなくてはいけない プロダクト:売り方による(松見さん共感層を作るのであれば、自分の好きなものを売る)、縦軸(美しさ)と横軸(マニアック度)を決める インスタ映えも狙うのは大切 一年くらいは今の状態か、やらなくてもいいことをどう減らすか考えるべき 株式会社LOOOF 丸谷 篤史さん 「比較を超える」という企業理念のもと、地域で古民家の宿泊サービスを構想している丸谷さん。ソーシャル暖簾分けモデルというフランチャイズの特殊バージョンというとてもユニークかつ洗練されたビジネスモデルを展開しています。丸谷さんの思いは多岐にわたり、地域特有の生活文化財の再生や児童養護施設出身の起業家を増やすこと、そして自立した子が集うクリエイティブ集団を作っていくという熱い想いを持っています。丸谷さんは想いが強いぶん、同情マーケティングはしたくない、イメージが先行されないかと山崎さんに問いを立てていました。 【山崎さんからのフィードバック(一部)】 建築士と大工の技術を持っていることはとても強み 出口戦略さえ作ればいろんなことができそう キャッシュポイントを複数作っていることも面白い 複合的にビジネスを見続けたものがうまく組み合わさった形 人材の入り口を絞ってしまうのはリスクになりかねない どうやって需要喚起するのかも深く考えたい 編集後記 今回のプロダクト作りの講義はプロダクトのみならず、サービスにも当てはまる内容の講義となりました。プロダクト開発に携わっているゼミ生からは「山崎さんのお話を聞きながら感じたことが多く、自分のプロダクトと照らし合わせて唸っていました」という意見も。講義ではブレークアウトセッションで1対1の対話をしたり、いつでも自由にコメントを書き込むことができたりと、ゼミ生同士もコミュニケーションが取れる、自然なやり取りが生まれ、オンラインの良さが活かされていました。 次回の講義は山ゼミ初のテーマ、経営哲学です!次回のレポートもお楽しみに!