yamasemi

2024.07.29

【山ゼミレポート】 第5回 お客さまづくり、ファンづくり

アイキャッチ画像

みなさん、こんにちは!山ゼミ編集部の宮木です。山崎ゼミ第5回の様子をレポートします。今回も新型コロナウイルスの影響により、オンライン講義となりました。オンラインだからこそ、チャットでは山崎さんへの質問やゼミ生同士の自発的な盛り上がりもあり、様々な意見が活発に交わされていました。

本講義は新型コロナウイルスが猛威を振るうなかで行われましたが、新型コロナウイルスが突き付けている課題として「もともと持っていたお客様を繋ぎとめ続けられるか」があると山崎さんは言います。全店舗・拠点が閉鎖に追い込まれている会社も多い中で、この状況が続けばお客様に忘れてられてしまう恐れがあります。今回はどのように会社は発信し、お客様に覚えてもらい続けるかをテーマにお話がありました。早速、内容を見ていきましょう。

お客様づくりとは?

お客様づくりとは、前回の講義でも話に上がっていた「最愛のブランドを作っていくためのお客様へのコミュニケーションとアクション」だと山崎さんは言います。では、お客様に応援してもらえるブランドになるためにどんなことを意識すればいいのでしょうか。

「為に」から「共に」

「お客様とは何ですか?」という山崎さんの問いに、「パートナー」「時には神様」などとゼミ生からの発言が。山崎さんは「お客様とはミッションを共有する仲間」であると答えました。「お客様の為に」であると「お客様の満足に叶うもの」「もっと安くすること」といった対立構造になってしまいます。

一方でお客様が企業の理念やミッションが応援したくなったり、その企業が社会を変えていくために貢献したくなったりするような「共に」という共犯構造が最愛のブランドを作るためのお客様づくりにおいて重要になっていきます。だからこそ、理念やミッション、ビジョンが大切なのです。

顧客と対立構造から共犯関係になる。

適切なるグルーピング

では、どのようにお客様とコミュニケーションをしていけばいいのでしょうか。そのヒントとして、その企業のどの部分に対して「共に(パートナー)」の視点をお客様が持っているのか、お客様ごとの適切なグルーピングをすることが大切だと山崎さんは強調しました。そのグルーピングとは「ヒト共感層」「テーマ共感層」「プロダクト共感層」です。この3つのグルーピングに従ってお客様へのコミュニケーションの仕方が変わってくるそうです。

顧客の3つの層

時間軸を持った関係性を作る

マーケティング用語として、プロダクト・サービスの使用に関わるお客様の行動や思考を設計する「カスタマージャーニー」は有名ですが、山崎さんは時間軸を長く持ってお客様の人生に寄り添っていく「ライフタイムジャーニー」というキーワードを挙げました。

マザーハウスでは、学生・就職・転職・結婚・家族形成といったお客様の一生涯を寄り添うことを意識しています。例えばマザーハウスの代表・山口絵理子さん著作の「裸でも生きる」は、各学校に要望があれば配布していたり、マザーハウスカレッジは社会人向けに展開していたり、プロダクト面ではブライダルリングやパパ・ママ用のバッグといった開発も行ったりしています。

お客様の生涯を意識したサービス開発は、長期的にお客さまに寄り添う覚悟があることを示し、このことは社会的に意味があるだけではなくビジネスに返ってくると山崎さんは言います。

ライフタイムジャーニーの設計

ストーリーテラーがテーマとプロダクトを語れるか

社内のスタッフとお客様とのかかわりの中で、自分の言葉で企業を代表して語れるようになることが大切です。そこでマザーハウスの社内向け商品発表ではインナーの感情をデザインすることに重きを置いているのだとか。開発された商品に各担当者が責任をもって「売れる」と思えるように伝え方の設計をしているとゼミ生でマザーハウスの社員でもある日比谷さんは話しました。スタッフ全員で自分の手を動かし、行動することでそれぞれに責任感が芽生えてきます。インナーコミュニケーションからどうジブンゴト化させていくかまでを考えていく必要がありそうです。

マザーハウスではインナーコミュニケーションに力を入れており、新商品発表会も盛り上がる。

3つの波を組み合わせて認知を広げる

さらに、お客様と定期的にコミュニケーションをするために念頭に入れておくべき3つの波があるそうです。1つ目はプロダクト・サービスを伝え、コミュニケーションを生む「ベースの波」、2つ目には半年~1年に1度程度、会社を思い出してもらうためにメッセージ性のある「イベントの波」、最後に2年に一度話題になるようなドキュメンタリーやテレビ番組による「大型メディアの波」です。これらを把握し、組み合わせていくことで会社の認知を上げていきます。

Facebookは日々の投稿に加え、誕生日に友達が「おめでとう」と書き込んでくれるのでFacebookを見に行かざるをえないといった、ベースの波、イベントの波を有効に使っている例だといえます。

ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション

第二部では、ゼミ生による事業プレゼンテーションとディスカッションが行われました。

リンクス株式会社 鈴木 貴達さん

「全ての視覚障がい者が外出できる社会を作る」を目指したサービス「otomo」を運営している鈴木さん。 otomoでは買い物、外食など余暇活動を中心に視覚障がい者の方に視覚補佐をするヘルパーさんを割り当てるサービスを展開しています。すでに都内で2-3番目のシェアを誇るサービスですが、鈴木さんはコロナウイルス感染拡大の影響で売上が減少していることに危機感を感じています。

【山崎さんからのフィードバック(一部)】

  • 新規ユーザーはほぼ獲得できており、ユーザーは一度決めた事業者を変えない特性があるため10~20年後に可能性があるサービス
  • コロナウイルスの影響の中で出てくるニーズに一つ一つ応えていくことでサービスの価値が深まる
  • ミッションを「全ての視覚障がい者が外出できる社会(ニーズ)」ではなく「全ての視覚障がい者が外出したいと思える社会(ウォンツ)」とすればマーケットが広がる
  • コロナ禍においては「何を準備するのか」が大切。その中で生まれるニーズに対応するのか、あるいは1年後のために何をやるのか

株式会社ユメハコブネ 平山康浩さん

平山さんは、ストレッチの専門家としてキャリアを積んだ後独立し、高単価で固定費をかけない出張型でのBtoBビジネスを展開しています。ストレッチには「不快な症状の緩和」「姿勢の改善」「柔軟性の向上」などの効果があることから未来の選択肢を広げるという想いがありますが、コロナウイルス感染拡大の影響で仕事が減り、オンラインでの事業展開を考えています。

【山崎さんからのフィードバック(一部)】

  • 自分が退職した際にトップと合わなかった部分の言語化した方がいい
  • 個人が考えている問題意識を社会化している
  • サービスは松竹梅を作ること(垣根は低くして、ワンコインで安く広く)
  • ストレッチのバリューを見える化した方がいい

編集後記

コロナウイルスが世の中を大きく変えている中で、お客様との効果的なコミュニケーションについて考え直す講義となりました。お客様に対する認識の変革から、インナーコミュニケーションまで様々な視点から「お客様づくり」を分析できたのではないでしょうか。

次回のレポートもお楽しみに!