yamasemi

2024.07.29

【山ゼミレポート】第7回 経営哲学とリーダーシップ

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みなさん、こんにちは!山ゼミ編集部の瀧田です。山崎ゼミ第7回の様子をレポートします。今回も引き続き講義はオンライン開催です。当日は山崎さんの誕生日!ということで、ゼミ生みんなで背景画像を用意し、ケーキも準備して盛大にオンライン誕生日会を行いました。とても和やかな雰囲気で今週もスタートしました。

前回の第6回ではプロダクト作りについての講義がありました。今回は、山ゼミでも初となる、経営哲学とリーダーシップに関して学んでいきます。

導入として、山崎さんは「トロッコ問題」についてゼミ生に問いかけました。「電車の運転手として線路を走行しているとき、このまま直線に進むと線路上に5人がいて、ポインターを切り替えた先に1人がいる場合、あなたはポインターを切り替えますか?」という問いです。この判断基準は人それぞれです。このように考え方が違うなかでどのような意思決定をするのか、それが経営哲学となります。

トロッコ問題

では早速、会社と哲学をリンクする入り口を考えていきましょう。

会社の存在意義とは

会社の存在意義は、第一回目の講義で触れた「想い」に紐付いています。会社の哲学は創業者の哲学を大きく反映しており、個人の哲学と同じように過去、今、未来が必要になります。改めて過去に経験した原体験が現在の自分の行動哲学や接し方にどう影響しているかを考えてほしいと山崎さんは話します。山崎さん自身も、ラベリングされない学校生活の居心地がよかったので、マザーハウスでも異文化、宗教が違う人たちをラベルングしない文化を作っているそうです。存在意義を会社の哲学に合わせて明確にすると、それが会社のコアとなります。

マザーハウスの原点にある哲学は、「マイノリティの可能性」

経済的価値を超えるもの

ここで、山崎さんから再度ゼミ生へ質問です。

「あなたは面接官です。会社の発展にすぐには貢献できそうもないため落とすことにしたいけれども、どうも落とすことができない候補者がいます。それはどんな人だからですか?」

ゼミ生からはこの問いへの答えとして、「ビジョンに共感しているから」「フォロワーが多いから」「成長意欲があるから」「インプットすることにモチベーションがあるから」など様々な意見が出ました。これらの評価するポイントが会社の哲学そのものだと言います。会社とは、経済的なアウトプットを出すのと同時に一緒に過ごす共同体であり、経済合理性でない判断が働いているのです。

一度、経済合理性を外して問いを立ててみると、どのような哲学が出てくるのでしょうか?他にも、儲からなくてもやりたいものはどんなもの?といった問いが会社の哲学を作り上げていきます。

フェア(平等)とは何か?

新型コロナウイルスの感染が拡大している状況において、60歳以上の患者には人工呼吸器をつけないという判断は、冒頭で紹介したトロッコ問題と一緒の問いです。山崎さんからはまた新たな問いが出されました。

「あなたの会社は経営難で、給与総額を20%カットしなくてはなりません、どんな方法でカットしますか?どのようにアクションをしますか?」

この問いからも、ゼミ生の様々な価値観が浮かび上がりました。例えば、みんなに状況を公表して相談するといった人もいれば、まずは自分ら経営者の給与をカットする、パフォーマンスや業務別に判断すると回答した人もいました。

賃金カットの方法も様々にあり、そのやり方に会社の哲学が表れる。

このような状況は、今の世の中ではいつでも起こりうることですが、判断基準は個人としてのフェアの概念に影響されているのです。会社の哲学として、会社の存在意義、経済的価値を超えるもの、そして平等とは何かを考えることの重要性が共有されました。

これからの時代は経営者の哲学、つまり会社の価値観が大切な時代になります。組織を作るのは、金銭的なモチベーションでは差別化できない哲学であり、優秀な人材を囲い込もうと思うなら、経済合理性とは違う価値観を発信することが大切だと山崎さんは話します。

自分の哲学を明確にし、明確な価値観を持った会社を作り、それを反映した組織を作っていく。会社経営においてはあらためてその根幹となる哲学が重要なのだと実感しました。

リーダーシップ

リーダーシップを培うための大原則は、己を知ることです。山崎さん自身もマネジメントの役割が多くなればなるほど、自分を知ることが重要だと気付かされたのだと言います。絶えずよき仲間を持ち、自分を客観視する力を身に付けることがとても重要です。

次回詳しくお話しする前に、山崎さんが「自分を作ってくれた7つのリーダーシップイベント」を教えてくださいました。ここでは一部だけご紹介します。

  • 叩きつけたファイル:たった一つの行いがその人を「作ってしまう」。そしてそのレッテルを外すことに何年もかかった。
  • 失った工場を守るために走る:バングラで工場を失った、その時初めてマネジメントしていることに気が付いた。
  • 隣の芝生は青く見える:やりきったと思ったが、もう一回同じ思いを持ったメンバーを持った人を集めるのは大変。辞めようと思ったとき、誰と仕事をするのかが大事だと感じた。

このように、山崎さんも自身の体験からリーダーシップの自覚が芽生えたとお話ししました。そして最後に次回までの宿題として、リーダーシップに影響を与えたイベントを3つ考えることを与えられました。このイベントから、リーダーとして大切にしていることを現実を直視しながらも、一番上に持っているミッションを忘れないことが重要になります。

ゼミ生の事業プレゼンとディスカッション

第二部では、ゼミ生による事業プレゼンテーションとディスカッションが行われました。

渡辺英暁さん(ラナエクストラクティブ)

渡辺さんは10億、100人の壁をどうやって乗り越えるか、100年続く会社にどうすればできるか、という問いがありました。現在の会社でデザインとテクノロジーをアイデアを通してソリューションを提供しており、解決するデザインから生み出すデザインへの転換を目指しているとのことです。全員がクリエイターとして安心して熱狂できる環境を作りたいとのことでした。

【山崎さんからのフィードバック(一部)】

  • 渡辺さんのような人が一人の経営で30億規模の大きな会社を作るべき
  • 自分の手を動かして作りに行くべき
  • 40才前後に譲るのではなく、奪いに行くくらいの人じゃないといけない
  • 目標設定を変え、どんなプロダクトを攻めるかを考え直すだけで組織に大きく貢献できる
  • ツールは揃っているので、売り上げにこだわる人がいると、それだけで会社が大きくなる

荒井昭則さん(NPO法人コンフロントワールド)

コンフロントワールドは不条理のない世界の実現を目指し、半分社会人、半分学生のメンバー18名で4カ国で活動しています。アフリカのウガンダで貯水タンク、浄水フィルター、家庭用のトイレを提供しており、学校建設の団体の支援や、ペルーの刑務所の中で出来上がったブランドの商品などを販売しているとのこと。悩みとしては、今のNPO法人の限界が見えてきたことと、目標が立てられないことでした。荒井さんにはゼミ生のみなさんも本当にやりたいことは何か?を鋭い質問で聞いており、最後は本人も腹落ちし、今後の展望が見えてきました。

【山崎さんからのフィードバック(一部)】

  • 一言で言うと、荒井さんは何のバリューを出せるプロになるのかが重要
  • 領域を決める(地域、プロダクト)
  • 価値提供のプロと、お金をとるプロになるべき
  • 本当に社会のことを思うなら、その国の社会課題を理解し、それを解決する団体をつくるべき
  • 本気で何を達成したいのかから、どのようなことをその中からすべきかを見つけるべき

編集後記

今回の経営哲学では、まずは過去の原体験から自分の哲学を知ること、そしてそれが会社の哲学に反映されていることがわかりました。山崎さんも多くの経験を乗り越えたからこそ、このような多くの知見を得て、一貫した企業カルチャーが作れているのだなととても納得できました。
次回は組織デザイン、そこでも経営者の哲学が大切になります。次回もお楽しみに!